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【メーカー】 ELK / エルク電子
【品 名】 STUDIO Vesser V30
【出 力】 出力 30W
【重 量】 11Kg
【サイズ】 幅:47cm 奥行:23cm 高さ:43cm
【消費電力】 56W / AC100V
エルク電子が1979年頃に販売していた真空管ギターアンプで、パワー部が真空管12AX7と7189が2本で、
プリ部が半導体回路によるハイブリッド構成のアンプです。
コントロールは[VOLUME-1][VOLUME-2][MASTER] [BASS][MIDDLE][TREBLE][REVERB]で、
リアには[HEAD PHONE][LINE OUT][SPEAKER][REVERB SW]となります。
アンプの特徴としては、70年代の後半から台頭してきたMESA/Boogieを意識した製品になりますが、
製品ランクが違いますので、MESA/Boogieと比較するのは無理があります。
アンプの評価は主観によって異なりますので、個人的な好みで必要以上の手を加えるのは避けるべきと
考えており、良くも悪くも製品のオリジナル状態への修復が基本的な方針としておりますが、
V30の場合は設計段階からの不具合があるので、不具合の部分は解決させる方向で手を加えております。
■ EQ回路の不具合の修正 ■
これまで私が過去に修復したV30では、どれも同じプリント基板でプリ・アンプが製作されていましたが、
その基板には配線パタンに誤りがあり、本来のEQ回路が正しく機能していませのでこれを修正しました。
回路が間違っていても音は鳴るのですが、当然ながら期待される様なサウンドは得られません。
なぜ製品の発売前に不具合を確認&修正しなかったのか解ですが、逆にパタン誤りの部分を改修さえ
すれば、V30の真空管アンプとしての性能は正しい方向で大幅に改善します。
■ Input-1 プリ回路の改良 ■ V30の入力は3ボリュームを採用したBoogieタイプの回路で、クリーンの場合はInput2に入力してVOL2
とMASTERで音量バランスを調整します。
歪ませた音を作る時はInput1に入力し、VOL1で増幅した後にVOL2の回路に接続して歪ませる方式ですが、
Boogieのように真空管をドライブさせて歪ませるのと違い、V30ではトランジスタでクリップさせて歪音
を作っています。
パワーアンプが真空管だからと思って期待すると、歪ませた音は70年代のトランジスタ・アンプのような
使い物にならない音がする期待外れなプリ回路になっています。
この製品では改善策としてInput1のトランジスタ回路を廃止し、FET回路に設計を変更しました。
基板内で出来る事は限られますが、トランジスタの音と比べれば使えるサウンドになったかと思われます。
■■ レストア再生&調整済み ■■ 上記の項目に加え、出品にあたり全体の総合オーバーホールを済ませております。
□ 本体は解体クリーニングを済ませ塗装&修復等、現実的な範囲にて全体にレストア再生いたしました。
□ カップリング・コンデンサ等の劣化の不安のある部材は必要に応じ、交換あるいは補修いたしました。
□ ワイヤリングの修正、グランド・ポントの修正等で、残留ノイズ等は大幅に低減いたしました。
□ 金属部品のコーナープロテクターには劣化が見られたので、樹脂製のプロテクターに交換しました。
□ SPケーブルはBELDEN9497ケーブルに交換し、内部配線方式から外部ジャック方式に変更しました。
□ 12インチ30Wのスピーカーは劣化が見られたので、12インチの60Wタイプの製品に交換しました。
スピーカーの取付け寸法の違いがあり、海外製品を取り付けるのは困難でしたのでGuyatoneの製品
に搭載されていた12インチ 8Ωのユニットを採用しました。
□ 純正の出力管は7189ですが、本機ではより最大定格に余裕のある7189Aに交換いたしました。
出力管の交換に際しては7189/7189Aであれば無調整で交換可能ですが、プレート電圧が400V近くあり
ますので、類似管の6BQ5では定格電圧を超えてしまい差し替えはNGです。
以上、回路改修の部分も含めて今でも十分に使える状態に再生&修復したつもりですが、約40年が経過した
製品ですので、経年変化に伴う補修が困難な部分が年式なりに残る場合もございますこと、ご理解願います。